ナカチカ

MC事業部 #02

デジタルと温度

2019.10.31#COLUMN


先日、15年行きつけの床屋さんで髪を切り終え珈琲をごちそうになっていた時、
「Tさんパン好きだっけ?俺もよく買って食べてるんだけど、隣のカフェで売っている食パンがすごく美味しいから、よかったらぜひ!」と床屋の店主が紹介してくれました。そこまであなたが言うならと、奥さんと息子も喜ぶかなと思い、帰りにそのお店に寄りました。

店は、60代の男性が一人でやっている小さいけれどテラス席もあるおしゃれなカフェ。
マスターの趣味と思われるアートやバイクも飾ってあって、自分的には好みの雰囲気のお店です。
「こんにちは―。隣の床屋さんで美味しい食パンがあるって聞いてきたんですけどー」
「あらあらそれはそれは。ちょうど最後の一つだったのでよかった。」
聞くと奥さんが手作りで作っていて、故に数は多く作れないからすぐに売り切れてしまうとの事。
話し方にどこか懐かしい訛りを感じたので「どちらのご出身ですか?」と聞いたら、やっぱり私が通っていた高校と同じ町の出身。

そこから共通の話題で話は盛り上がり、30分ほど立ち話。地元の話から趣味の話まで広がり楽しい時間を過ごしました。
帰る際に「よかったら、またぜひ来てけらいんね」と言われて、久しぶりにお店で買い物(と言ってもパン一つですが…)をして、
なんだか、あたたかい気持ちになりました。

デジタルの時代になり、1人1台のデバイスを持ち、店舗にでかけなくてもスマホで買い物ができる時代。
私自身も「ポチっ」と指でモノを買うことが増えました。本当に便利な世の中ですよね。
でも、今回感じた「あたたかい温度」ってリアルな人や店舗ならでは。ポチっとする時はそんな事は感じないし、
さすがにAIでは人の心に温度を感じさせることはできません。やっぱり最後は人なのかなぁと思うとともに、
店舗は商品を「売る」事以外の価値をどう提供していくか本気で考えないとますます厳しくなるなとも感じます。

おそらく1周回って、最後はリアルで感じられる「温度」や「体験」の価値が最重要のような気はしますが、
だからと言ってリアルだけに注力するのではなく、今はデジタル時代になっている、むしろどんどん加速して止められないという事実を
大前提にリアルならではの価値をデジタルにどう馴染ませていくか。そういった二択ではないという考え方が必要な時代になっています。容易ではありませんが、私たちの仕事もそこを押さえて考えていきたい。パンを買って、あたたかい気持ちになりながらそんなことを思いました。

食パンは次の日の朝食でトーストにして食べました。もっちもちで、甘さ控えめ、バターとの相性もばっちりで
とっても美味しかったです。また来月にでも、温度を感じに、気の良いマスターに会いに行きたいと思います。