ナカチカ

MC事業部 #56

理想を描くこと

2020.10.20#COLUMN

いま、本好き、書店好きの間で人気を集めている、あるプロジェクトがあります。

その名も「御書印プロジェクト」。

発案者曰く「御書印とは、神社やお寺でいただく〝御朱印〟の書店版」。
「書店と人を結ぶ印」で「書店を元気づけ、利益にもつながり、お客さんにも喜んでもらおう」と始められたプロジェクトです。

御書印代は200円程度で、先着順に無料でもらえる御書印帳に、その書店をイメージした3つのオリジナルスタンプが捺印され、さらに筆ペンで書店が選んだ本の一節を書き添えてもらえます。

2020年3月1日より開始したこのプロジェクトも最初は46店舗でしたが、この10月で200店を突破しました。

発案者は小学館の刊行物の営業などをする小学館パブリッシング・サービスの小川宗也さん。

客として本屋に行った帰り道、ふと「御書印」という言葉が頭に浮かんだことがきっかけだったといいます。

そして私が、この企画のことを強く素敵だと思ったのは、小川さんが「御書印」というフレーズから妄想したという次のビジョンを知ったからです。

“書店の会計時に、少々気むずかしげに見える店主に、緊張しながら「御書印ください」と声をかける。すると表情は一変。「はい」とにこやかに答えてくれる。少々人見知りで気後れしてしまう私も「御書印」を書いてくれている間、店主と自然に言葉を交わす。やがて「出来ましたよ」と御書印帖を渡してくれる。「ありがとうございます」と代金を渡す。さっきのお店でそんなやりとりがあったなら、購入した本だけじゃない、違う「なにか」と出会えたかもしれない。そのタイミングでしか、巡りあうことのない「なにか」に。”
出典:小学館 小説丸『次は、書店巡りがブームに!? 「御書印」の旅へ出かけませんか。』

小川さんはこの妄想をキッカケに書店向けの企画書を早速書き上げます。同僚や上司の後押しもあり、書店員さんからの反応も良かったためすぐにプロジェクトがスタートします。

「御朱印からヒントを得た、ユニークな新サービス。」というだけではなく、このようにビジョンや想いが小川さんの言葉でカタチにされたサービスだからこそ、まわりの人たちの共感を得て推進量を持つ企画になったのだと思います。

ついつい現実にばかり目が行きがちですが、改めて自分の言葉で理想の状態を描くことの大切さを感じた企画です。

ハンコの廃止が謳われる昨今、こういった新しいハンコ文化が根付くことにも期待しながらまた好きな書店に行って未だ知らない「なにか」に出会いたくなりました。

赤福